【Sass入門】SCSS記法を使ってCSSコーディング効率を10倍上げる方法
【Sass入門】SCSS記法を使ってCSSコーディング効率を10倍上げる方法

【Sass入門】SCSS記法を使ってCSSコーディング効率を10倍上げる方法

皆さん、こんにちは。フリーランスラボです。

あなたがコーディングを行う時、どのような記法を用いてCSSを記述しますか?

僕は数年前からSCSS記法を取り入れ、生のCSSをコーディングすることはほとんどなくなりました。

結論から言うと、絶対にSCSS記法を取り入れた方が、CSSコーディングスピードが劇的に上がります。

大袈裟な言い方になるかもしれませんが、コーディング以外にもCSS自体の管理も簡単になったので、総合的な側面から見て、以前のように生のCSSに直接コーディングしていた頃と比べて作業スピードが10倍になったと言っても過言ではないと思っています。

もう決して戻ることはできません。

一部のコーダーがまだSCSS記法を取り入れていないという事実に気付いたのがきっかけですが、今回は、僕らが普段利用しているWebデザインの世界を大きく変える可能性を秘めたテクノロジー、Sassとその一部であるSCSS記法についてご紹介します。

はじめに

CSSの限界とそれを突破するSassの能力

僕らがWebサイトをデザインするとき、CSSはよく使うツールで、非常に便利な存在です。

しかし、大規模なプロジェクトや複雑なスタイリングになると、CSSだけでは手間がかかったり、同じスタイルルールを何度も書かなければならないといった問題が出てきます。

ここでSassが活躍します。

Sass(Syntactically Awesome Style Sheets)はCSSのプリプロセッサで、これらのCSSの問題を解消する機能を備えています。特に注目すべきはSCSS記法で、CSSと同じ書式を保ちながらも、変数の利用、スタイルのネスト、ミックスイン、セレクタの継承など、CSSだけでは実現できない強力な機能を持っています。

これらの機能を駆使することで、僕らのスタイリング作業は大幅に効率化され、CSSが持つ制約を超えて、より高度なスタイリングを実現することができます。

SCSS記法を使ってスタイリング効率を10倍にする

この記事の目標は、SCSS記法を使って僕らのCSSスタイリング作業の効率を10倍にすることです。

具体的には、SCSS記法の基本的な文法とその使用方法、そしてSCSS記法を活用することでどのようにスタイリング作業を効率化できるかを解説します。

皆さんがこの記事を読むことで、SCSS記法の魅力を理解し、自身の案件・プロジェクトに活用していただければ幸いです。

CSSとの違い

CSSとSassの違いを簡単に説明します。

Sassでは以下の点でCSSと比べてスタイルの管理が効率的になります。


  • 冗長なコードを削減する
  • スタイルの重複を回避する
  • 変数やネストを活用してコードの可読性を向上させる
  • ミックスインや継承を使ってスタイルの再利用性を高める
  • 演算子を使って計算を簡単に行う

CSSはウェブデザインで使用されるスタイルシート言語であり、基本的な機能を持ちますが、冗長なコードや重複したスタイルの管理が課題です。

一方、SassはCSSの拡張言語であり、より柔軟なスタイルの管理が可能です。変数やネスト、ミックスイン、継承、演算子などの機能を提供し、スタイルの一貫性やコードの再利用性を向上させます。

Sassは、CSSの限界を突破し、スタイリング効率を大幅に向上させることができる強力なツールで、作業スピードが大幅に上がります。

Sassとは

Sassの概要と歴史

Sass(Syntactically Awesome Style Sheets)は、CSSのプリプロセッサとして広く知られ、僕らがWebデザインにおけるスタイリング作業を格段に改善するためのツールです。CSSに存在する難題を解消し、コーディングをより効率的で、より創造的なプロセスにするために作られました。

Sassは2006年にハンプトン・キャトリンとネイサン・ヴァイスバウムによって開発されました。彼らの目標は、CSSの制約を乗り越えて、より強力で、より表現力豊かなスタイルシート言語を作ることでした。

これが実現され、Sassは今日では広く受け入れられ、多くのプロジェクトで活用されていて、現在主流となっているのはSCSS記法です。

通常のCSSを理解できる方であれば、SCSSコードも容易に理解できます。

SCSS記法はCSSと互換性があり、スムーズな切り替えが可能です。

2つの記法 : 「SASS記法」と「SCSS記法

Sassには、記法が2つあり、「SASS記法」と「SCSS記法」があります。

Sassの初期の記法として「SASS記法」が存在しましたが、この記法は通常のCSSとは異なり、非常に簡略化された書き方をしていました。そのため、一般的なCSSの書き方との違いが分かりづらく、広く普及することはありませんでした。

その後、CSSの書き方に近い「SCSS記法」が開発され、この記法は広く受け入れられています。現在、Sassという名前で呼ばれていますが、ファイルの拡張子は「.scss」です。

このような経緯から、初めてSassに触れる人にとっては少しややこしいかもしれません。

Sass記法(インデント記法)は、カッコやセミコロンを省略し、インデントと改行でコードのブロックを定義します。

それに対して、SCSS記法はCSSとよく似た書式を持ち、ブレース({})とセミコロン(;)を使用します。これはCSSとの直接的な互換性を保つためです。

僕らが「SCSS記法」を選ぶ理由は、その直感性と互換性にあります。

SCSS記法は、既存のCSSの書式を保持しつつ、Sassの強力な機能を利用できる点で、CSSに慣れた僕らにとっては理解しやすく、扱いやすいです

さらに、CSSとの完全な互換性があるため、既存のCSSコードをSCSSに移行する作業も簡単です。このような特性が、SCSS記法が僕らのスタイリング作業の効率と生産性を大幅に向上させる要因となります。

Sass導入のメリット

作業効率の向上

Sassは、変数、ネスト、ミックスイン、セレクタの継承といった便利な機能が利用できます。

これらの機能により、CSSスタイルの再利用性が高まり、重複したコードの記述を圧倒的に減らすことができます。

また、Sassのネスト機能を使うことで、視覚的な階層構造を持ったスタイルシートを作成できまるので、コードが見やすくなり、開発者はより迅速かつ正確にスタイルを適用できます。

作業効率の向上は、プロジェクトの進行や修正作業において非常に重要な要素です。

メンテナンス性の向上

Sassでは、変数やミックスイン、セレクタの継承といった機能を活用することで、スタイルシートのメンテナンスが容易になります。

変数を使用することで、一度定義した値を簡単に変更でき、スタイルの修正や調整がスムーズに行えます。

また、ミックスインを利用することで、共通のスタイルを簡潔に記述することができます。

同じスタイルを複数の要素で使用する場合、ミックスインを使ってスタイルをまとめることで、コードの量を減らすことができます。

これにより、スタイルの一貫性を保ちながら、コードの可読性や保守性を向上させることができます。

さらに、Sassではスタイルのネスト機能を活用することができます。

要素の階層構造を正確に表現できるため、コードのとても見やすくなります。

特に大規模なプロジェクトでは、スタイルの階層が複雑になることがありますが、Sassのネスト機能を使うことで、スタイルの関連性を明確に示すことができるので、メンテナンス作業やスタイルの追加・変更、複数人でのスタイル共有も容易になります。

Sass導入のデメリット

環境構築の手間

Sassを利用するためには、環境構築が必要です

特に初めてSassを導入する場合には、専用ツールやプラグインの導入、設定ファイルの作成などが必要となります。しかし、環境構築には初期の手間や時間がかかることがあります。

Visual Studio Code(VSCode)の拡張機能やツールを活用することで、Sassの環境構築をスムーズに行うことができます。

例として、「Live Sass Compiler」というVSCode拡張機能を使用すると、SassファイルをリアルタイムでコンパイルしてCSSファイルに変換することができます。また、Sass拡張機能をインストールすることで、シンタックスハイライトや自動補完の機能を利用することも可能です。

また、「Prepros」は、SassをCSSに変換するためのGUIコンパイラツールもおすすめです。

使いやすいグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を提供しており、コマンドラインのような黒い画面(CUI)を使わずに、マウス操作で簡単に設定を行うことができます。

Preprosを使用すると、簡単な設定でSassのコンパイルや自動更新を行うことができます。

Preprosの利点は、エディタに依存しないことで、複数人が同じ案件に関わる場合でも、Preprosの設定ファイルを共有することで一貫性を保つことができます。

また、Preprosはカスタマイズ性が高く、プロジェクトごとに異なる設定やオプションを使用することも可能です。

さらに、PreprosはSassだけでなく、他のプリプロセッサやタスクランナーとも連携することができます。これにより、複数のフロントエンド開発ツールを一元管理することができます。

Preprosを利用することで、環境構築の手間を簡単に減らし、効率的にSassの開発を行うことができます。エディタの選択に制約を受けず、柔軟にカスタマイズすることで、チーム全体で一貫性を保ちながらプロジェクトを進めることができます。

これらのツールや拡張機能を組み合わせて使用することで、環境構築の手間を少なくすることができます。

具体的な手順や設定については、各ツールのドキュメントやオンラインリソースを参照してください。初めての環境構築でも、VSCodeの拡張機能やツールを活用することで、専門知識がなくてもSassの導入をスムーズに進めやすくなっています。

学習コストがかかってしまう

Sassは、CSSに比べて独自の機能や文法を持っていますので、初めてSassに触れる場合には少し学習コストがかかってしまいます。新しい概念や書き方に慣れる必要がありますし、既存のCSSプロジェクトをSassに移行する場合には、既存のコードを変換したり適用したりする作業が必要です。

学習コストを軽減するためには、初心者向けのドキュメントやチュートリアルを上手に活用することが重要です。分かりやすく解説された資料を使うことで、Sassの基本的な概念や書き方を短時間で理解することができます。

また、既存のCSSプロジェクトをSassに移行する場合には、段階的な移行をおすすめします。少しずつ移行を進めることで、既存のコードを変換したり新しいSassの機能を適用したりする手間を軽減することができます。

学習コストは最初は少し感じるかもしれませんが、初心者向けのリソースを活用しながら段階的に進めることで、Sassの利点を最大限に引き出すことができます。

うまく習得することができると従来のように生のCSSスタイリングと比べて、大幅に作業スピードが上がることは間違いありません。

お手持ちのCSSスキルと組み合わせて、スタイリングの効率化やメンテナンス性の向上を実現しましょう。

ファイルサイズの増加

Sassを使用すると、コンパイルされたCSSファイルのサイズが増加することがあります。

特に、ネストや繰り返しの使用に注意が必要で、増加したファイルサイズは、ウェブページの読み込み速度やパフォーマンスに影響を与える可能性もあります。

ファイルサイズの増加に対処するためには、Sassのコードを最適化することや、CSS圧縮ツールを使用してみましょう。

Sassの主な機能

変数

変数を使用し、再利用可能な値を定義できます。

色やフォント、ボーダーサイズなどの値を変数に格納しておくことで、コードの重複を避け、効率的にスタイルを管理できます。

/* CSSでは変数を使用することができません */
body {
  font-family: "Arial", sans-serif;
  color: #333;
  background-color: #f5f5f5;
}

h1 {
  font-size: 24px;
  color: #ff0000;
}
/* SCSSでは変数を使用することができます */
$font-family: "Arial", sans-serif;
$text-color: #333;
$background-color: #f5f5f5;
$heading-color: #ff0000;
$font-size: 24px;

body {
  font-family: $font-family;
  color: $text-color;
  background-color: $background-color;
}

h1 {
  font-size: $font-size;
  color: $heading-color;
}

上記のコードでは、CSSSCSSの違いが明確に示されています。CSSでは変数を使用することができませんので、値が直接指定されています。

一方、SCSSでは変数を使用して値を定義し、変数名をプロパティに代入することで値を参照します。これによって、共通の値を変数にまとめて管理することができ、コードの重複を避けることができます。

SCSSの変数を使用することで、スタイルの変更や調整が容易になります。

例えば、フォントファミリーを変更する場合は、変数$font-familyの値を変えるだけで一括で反映させることができます。

また、色の変更も変数によって一箇所で変更できるため、効率的なスタイル管理が可能です。

ネスト | 入れ子構造

Sassでは、CSSのネスト構造を簡潔に表現することができます。

親要素内に子要素をネストさせることで、関連するスタイルをまとめて記述できます。

これにより、セレクタの繰り返しを避け、コードの可読性を向上させることができます。

/* CSSではネストを使用することができません */
.container {
  padding: 20px;
}

.container h1 {
  font-size: 24px;
  color: #ff0000;
}

.container p {
  font-size: 16px;
  color: #333;
}
/* SCSSではネストを使用してCSSのネスト構造を表現できます */
.container {
  padding: 20px;

  h1 {
    font-size: 24px;
    color: #ff0000;
  }

  p {
    font-size: 16px;
    color: #333;
  }
}

CSSとSCSSでは、要素の指定方法に違いがあります。

CSSではセレクタを繰り返して要素を指定しますが、SCSSではネストを使用して要素の階層関係を表現します。

ネストを活用することで、コードの見た目が整理され、関連するスタイルがグループ化されます。ネストを適切に活用することで、コードが長くなるのを減らし、スタイルの関連性を明確にし、可読性を向上させることができるので効率的な開発が可能になります。

ミックスイン

ミックスインは、再利用可能なスタイルのセットを定義するための機能です。

共通のスタイルを予めまとめておき、必要な箇所で呼び出すことができます。

スタイルの一貫性を保ちながら、コードの重複を減らし、保守性を高めることができます。

/* CSSではミックスインを直接定義することはできません */
.container {
  padding: 20px;
  background-color: #f5f5f5;
}

.highlight {
  font-weight: bold;
  color: #ff0000;
}
/* SCSSではミックスインを定義して再利用することができます */
@mixin container-style {
  padding: 20px;
  background-color: #f5f5f5;
}

@mixin highlight-style {
  font-weight: bold;
  color: #ff0000;
}

.container {
  @include container-style;
}

.highlight {
  @include highlight-style;
}

上記のコードでのCSSとSCSSの違いは、ミックスインの定義方法にあります。

CSSでは直接ミックスインを定義することはできないため、スタイルの重複が発生します。

一方、SCSSではミックスインを定義し、再利用することができます。

SCSSのミックスインを活用すると、共通のスタイルをまとめて定義し、必要な場所で呼び出すことができます。

その結果、コードの重複を減らし、保守性を高めることができます。また、ミックスインを使用することでスタイルを一括管理し、スタイルの一貫性を保ちながら開発効率を向上させることができます。

クラスの継承

Sassでは、CSSのクラスの継承をサポートしています。

スタイルの継承を行うには、@extend文を使用します。

特定のスタイルを共有するクラスを作成し、他のクラスから継承することができます。

スタイルの一貫性を維持しながら、コードの量を削減することができます。

/* CSSではクラスの継承を直接サポートしていません */
.btn {
  padding: 10px;
  border: 1px solid #000;
  background-color: #fff;
  color: #000;
}

.btn-primary {
  background-color: #007bff;
  color: #fff;
}

.btn-secondary {
  background-color: #6c757d;
  color: #fff;
}
/* SCSSではクラスの継承を使ってスタイルを共有できます */
.btn {
  padding: 10px;
  border: 1px solid #000;
  background-color: #fff;
  color: #000;
}

.btn-primary {
  @extend .btn;
  background-color: #007bff;
  color: #fff;
}

.btn-secondary {
  @extend .btn;
  background-color: #6c757d;
  color: #fff;
}

上記のコードの、CSSとSCSSの違いは、CSSではクラスの継承を直接サポートしていないため、スタイルの重複が生じています。

一方、SCSSではクラスの継承を使ってスタイルを共有することができます。

SCSSのクラスの継承を活用することで、共通のスタイルをまとめて定義し、他のクラスから継承することができます。

したがって、スタイルの一貫性を維持しながら、コードの量を削減することができます。

新たなスタイルが追加される際にも、既存のスタイルを継承して効率的にスタイルを作成することができます。

演算子

Sassでは、数値やカラーなどのデータを計算することができる演算子をサポートしています。数値の加算や減算、カラーの明度や透明度の調整などを簡単に行うことができます。

/* CSSでは演算子を直接サポートしていません */
.width {
  width: 100px + 20px; /* 無効な演算子 */
  color: #ff0000;
}
/* SCSSでは演算子を使って計算を行うことができます */
.width {
  width: 100px + 20px; /* 120pxと計算される */
  color: #ff0000;
}

上記のコードの、CSSとSCSSの違いは、CSSでは演算子を直接使用することはできませんので、無効な演算子として扱われます。

一方、SCSSでは演算子を使って計算を行うことができます。

SCSSの演算子を活用することで、数値やカラーなどのデータを簡単に計算することができます。

例えば、幅や高さの計算、色の調整などを柔軟に行うことができます。演算子を使うことで、スタイルの設定がより動的になり、効率的な開発が可能となります。

Sass入門 – まとめ

今回は、Sassを使ってCSSコーディングの効率を飛躍的に向上させる方法について学びました。Sassの主な機能である変数、ネスト、ミックスイン、継承、演算子を活用することで、スタイルの一貫性を保ちながらコードの量を削減できます。

Sassの導入のメリットは、作業効率が向上し、スタイルのメンテナンス性も良くなります。

一方で、環境構築の手間や学習コストがかかることもありますが、ツールやドキュメントを活用することで対応できます。

Sassはウェブデザインの世界で重要な役割を果たしています

従来の生のCSSでコーディングするより、圧倒的に作業スピードが上がり、スキルアップにもつながるので、この機会にぜひ取り入れて使ってみてください。

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